ヤフーが,インターネットで商売するもののなかで唯一の良心だったとしたら,やはりそれは幻想に過ぎなかったということか。そしてこの世界に企業というものは,商売というのは,残らない。ならば,なにが残るの?
ウェブポータル大手のヤフー社が2期連続で四半期の業績を大幅に下方修正。同時にCEOティム・クーグルが辞任した。ヤフーにはより現実的なビジネスモデル,収益源を考える時期が来たと云われる。逆にオンライン広告業界は変わらないとする意見もある。
ヤフーというメディアは,最後まで広告主が残る媒体だと思われていた。唯一,死を感じさせない企業だったはずだが(過去記事),1年ほど前から周辺の企業がばたばたと倒れ始め,ここ半年ほどでヤフーまでがその波に完全に飲み込まれた。そして誰もいなくなる,のか? ワイヤードに,リアルと同じ商慣習やビジネスモデルを持ち込もうとした者たちは,ここでは無理だ,と逃げ始めている。そう,無理だ。ここは,リアルではない。価値観も,慣習も,すべてが異なっている。
これで,今までの狂乱騒ぎは終わるのだ。リアルのお金も,リアルの法律も,リアルの道徳も,リアルの価値も,ここでは受け入れられない。そして,気付く。もっと別なものがあったはずだ,別の価値が。ネットワークの一端末となって,限りない情報の渦に飲み込まれているときの快感は,決して金儲けとは無縁だ。そして,アマゾン・コムがなくなっても,ヤフーがなくなっても,その快感は消えない。そこに,ネットワークの真実がある。ヤフーはもっと純粋になって,それに立ち戻らなくてはいけない。スタンフォードのサーバー上にあった日の,繋がりの意味を,じっと考えるべきだ。それに気付いたら,今のポータルという志向は,かけらもなくなるはずだ。
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